監査法人と検査機関

 昨日、TVである監査法人がインタビューに「あまり過度に厳密さを期待されても」と答えていた。先日の、中央青山監査法人の業務停止を受けた、特集でしょう。

 先日問題となった違法建築に関する検査機関に対してもそうだったが、全てのミスを見逃さない様にチェックするには、現状の制度では建築確認機関にしても監査法人にしても難しいのではないか。可能にするには先ず時間=費用が必要になるが、そこまで求めるかだ。
 違法建築で問題になっている物件の確認申請代は15万程度、それを数週間で結果を出すことを求められている。他にも多くの物件を抱える中、厳密な確認ができるとも思えないし、ミスが見つかった場合その責任を負わされるのでは、15万ではあまりにも安過ぎではないか?これでは、怖くて検査機関のやり手がなくなってしまうのではないのか。
 監査法人の場合は、公開企業であれば1ヶ月50万以上程度は支払い、数人で数週間掛けて監査を行うが、これでも全てを確認するのは確かに難しく、しかも目まぐるしく変わる会計基準の中、いくつかのポイントをピックアップして見ているのが現状。
 私も税理士事務所勤務の時代に、税務会計の確認を全て取引について行なっていたわけではない(時間がない)。税務調査があれば何も出てこない時は半分以下だったが、しかしこの全ての責任を負わされるのならば、怖くてやれない。
 『プロだろ!』と言われるがかもしれないが、現実的に不可能の中で、検査機関や監査法人に大きな責任を負わせて済む問題でもない。

 『監査法人が粉飾決算を主導的に行った』等の場合は問題だが、会社側や会計担当者(建築確認なら設計士)が、故意的に行なった違法行為等は見つけるのは大変だ。
 その一方で、マンション購入者や財務諸表で判断をする株主にとっては、検査や監査が行われているので、完璧なものだと思ってしまうのも仕方ない。
 どこまで費用を掛けて厳密な検査や監査を行うかだが、それよりも建築士や会社側(経営者や財務担当)のコンプライアンス(正しい物を作る)意識の問題で、いくら時間を掛けても最初の作成者が、故意的に行なう違法行為の発見は難しい。

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