Naviのファーラムで、『業務フロー定着』についての質問があり私なりの意見を書いたのですが、更にもう一言。
私の経験談です。
私は、ある公開準備会社に勤務し公開準備を進めることとなりましたが、そこの内部管理体制は悲惨で(と言ってもベンチャーには多々ありますが)、例えば予算も無く月次決算など2ヶ月位後でないと出来ない(しかもほとんど税理士任せ)状況でした。
そこで私は、帳票・業務フロー・予算策定等の体制を整え、月次決算と予実績表を翌月の10日程度に作成し取締役会が開ける体制にしました。
正直「私が経験と知識を活かし、皆を引っ張った結果だ!」と内心思い、また周りの人達も認めてくれました。もちろん、その過程ではいろいろな戦いがありました。特に、その会社は財務管理と業務管理が分かれていましたので、私は現場の人達と直接対話することはほとんど無く、私の考えた業務フローなどを実際に現場の人達に伝え守らせるのは業務管理部門で、Aさんが中心に行なっていて、いつもAさんと「この様にやって!」「いや、できない」と、激論を交わしていました。でも、最終的にはAさんは私の意見を聞いてくれ実行してくれました。
そして私は次の公開準備会社に勤務し、いつものように当会社の内部管理体制での問題点を見つけては改善を進めました。ただその会社は、50人程度だったので私が直接現場の人達に伝え守らせる必要がありました。
私は改善が必要な場合には、関連部署の責任者を集め必要性・改善方法等を説明しました。しかし説明は聞いてくれるものの、いざ実行のお願いとなると首を縦に振ってくれません。何度説明を繰り返しても、、、。そこで、Bさんが間に入ってくれました。Bさんは私の上司にあたる人ですが、もともと商品開発の方で財務などほとんど知らず、証券会社から「公開準備の責任者を」と言われ止むを得ずなったような人です。なので、Bさんの説得は理論的ではなく「大変だと思うが頼む!お願いだ!」という人情論でしたが、現場の人は「Bさんが言うならやるか」と、愚痴りながらも承諾してくれました。
『いくら理論的な説得でもその人間に信用が無ければ(数ヶ月前に来た人間)説得は難しく、数十年 一緒に苦労した仲間からの「お願い!」の一言には勝てない』と痛感しました。
思い返せば前の会社のAさんも、面倒見がよく現場の人達からとても慕われていました。激論の内容もAさんが「これじゃ現場人達が大変だ!」、私が「公開するには必要だ!」という趣旨で、Aさんは現場の人達を思い、私は公開をするためだけを考えていた。前の会社で業務改革が上手く行ったのも、「私の考えた業務フローが良かった訳ではなく、Aさんが現場の人達を上手く説得してくれたからではないか。現場の人とほとんど話した事も無い私がいくら説得しても動いてはくれなかったのでは?」と思うようになりました。
私はそれから、現場の人達となるべく接するようになりました。またそのことが、その会社の業務内容や問題点を見つけるにも繋がります。
業務フローを考える事は、経験を積めば然程難しくはありませんが、それを定着させることは人と人との信頼関係が基となり、一朝一旦にすることは難しい。
『業務フローを定着させる事』は、『業務フローを作成する事』よりも何倍も難しく、私は公開準備作業て一番難しいことではないかと思っています。
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