最近は、ニュースや新聞では連日の様に「景気悪化・雇用不安」を伝え書き立て、必要以上に見る人の心理を不安にしているようにも思えます。TVや新聞は、基本的には『負』の出来事を伝えるのが商売みたいなものですから致し方ない面もありますが、、。 確かにIPOの世界でも上場件数は激減し、上場企業の業績も輸出関連企業をはじめ業績は悪化していますが、『100年に一度の大不況』と煽るほどなのかはとても疑問です。
それより最近私は、今回のサブプライムローンを発端に始まった不況よりも、ここ10年位の間に起きた変動による地方や中小企業の沈み方が激しさに驚き心配になります。雇用で7割・GDPで6割を支える中小企業はどうなってしまうのだろうと、、、。
私の実家は埼玉県の所沢ですが、子供の頃に良く行った個人商店は年々姿を消し、また実家は建設業ですが、回りの昔から居た大工さんや左官屋さんも次々廃業していますし、昔からある下請けの小さな町工場も全く活気がありません。理由を聞くと、後継ぎ問題もあることはあるが、主には仕事が無いということ。
これは、今回のサブプライムローンから始まっているわけではなく、10年以上前から既に始まっていたと思います。
効率化のもと、建設業では地方の大きな工場で大量に加工することで規模の経済で安く請け負う事を可能にし、小売業では大型のスーパーが幅広い商品を薄利多売で個人の小売店では太刀打ちできない金額で売っています。例えば私の子供の頃、消しゴムと言えばトンボのマークの50円や100円の消しゴムがメインでしたが、今では100円ショップに行けばメイドインチャイナが5個100円で売っています。
全ての業種で、差別化できないもの・ルーティン化できるものはコストダウンを行なうために大型化し、海外に移転が可能なものは発展途上国で安い賃金により圧倒的なコストダウンをする。
これでは、資本力も無い地方の小さな町工場や小売店舗が太刀打ちできるわけありません。
■同じものなら安いものを→大企業は効率化を進めるため大工場で大量に生産・加工しコスト削減を実現、また移転が簡単なものは中国へ→小さな業者は価格競争で太刀打ちできず仕事が無くなり廃業へ→新規に工場を始めるという人も無く、既存の工場もなくなり修理も無く建設の仕事が無くなり廃業へ
よく今の景気悪化や地方の疲弊は「小泉竹中の規制緩和が悪い」と言われますが、私はこのコスト競争が大きな原因であり、この流れは止めようがないものだと思います。鎖国でもしない限り。
今、派遣や賃金が問題になりトヨタやキャノンがマスコミに叩かれまくっていますが、大企業はともかく雇用の7割を支える国内の中小企業の多くが、1/30の賃金で働く発展途上の安い商品との価格競争にさらされている中で、今より高い賃金で安定的な雇用を提供できるのか疑問です。
競争に勝つには「商品の差別化」か「コストダウン」だと言われますが、以前は効率化などは大企業が行なうもので、町の小さな企業ではあまり行なわれず、それよりも人と人との繋がりを重要視して来ました。しかし今は、人の繋がりが薄れ、インターネットでは人を介することなく買い物もでき、同じものなら一円でも安く買うために日本中の小売店と比較できることも可能になっています。
今や全世界の安い商品が大量に出回り、その安い商品を支える低賃金を提供できる発展途上国は、中国だけでなくインド・フィリピンと次々あらわれます。
では「商品の差別化」を図るのかと言えば、多少の技術の進歩では、インフラが整いつつある国には真似する事も難しくはないでしょう。
こんな熾烈なコスト競争の中、経済大国2位といわれる日本ですが、こう考えると今の景気回復よりも、高齢化と人口減少が始まった日本の20.30年後はいったいどうなってしまうのだろうと、自分のこの先を含めいろいろ考えてしまう今日この頃です。
最新トラックバック